目の難病、iPS治療は「先進医療」不適合 厚労省部会

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厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影 拡大
厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 厚生労働省の技術審査部会は21日、神戸市立神戸アイセンター病院が申請していた、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜細胞を目の難病患者に移植する臨床研究について、一部に公的な医療保険が適用される「先進医療」とするのは不適合と判断した。主な理由として、症状の改善効果が評価しにくいことや、高額な患者負担が妥当なのかを判断できないことを挙げた。認められていれば、iPS細胞を使う治療として初めてのケースだった。

 申請資料によると、対象は網膜色素上皮(RPE)が萎縮するRPE不全症のうち、加齢黄斑変性と遺伝性網膜ジストロフィーの患者。光を感知する機能の維持に関係するRPE細胞をiPS細胞から作製。髪の毛くらいの太さで長さ2センチのひも状にし、最大4本を患者の目に移植する。

 2033年1月まで15人の患者へ移植し、効果が確認されれば、公的な医療保険の適用を目指す計画だった。

 部会では、視力や視野の維持が主要な評価項目でなく、「臨床的な有効性」を示す根拠が薄弱と指摘。1人当たり1000万~2000万円と高額な治療費が妥当かを判断する資料がないことも問題視した。

 その上で、治療として実施する場合には患者の生活の質(QOL)の改善が見込まれることが重要で、これらを客観的に評価することが困難なことが見込まれるため、先進医療にすることは不適とした。

 一方、当初の計画では、RPE不全症全体の患者を対象にしていたが、部会の指摘で対象を二つの病気に絞った経緯もあり、「(手順を踏んで、新たな)研究計画を提出されることを期待する」とした。

 先進医療は最新の治療や検査などの医療技術について、患者の負担を軽減しながら実施例を増やし、公的な医療保険の適用を目指す制度。通常の治療と共通する入院や検査費用など一部に公的保険を適用する。【渡辺諒、中村園子】

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