広陵高校(広島市)は21日、硬式野球部の中井哲之監督(63)の退任と野球部コーチ、松本健吾氏(34)の新監督就任を発表した。部長も中井氏の長男惇一氏から、同校のバスケットボール部顧問、滝口貴夫氏に交代する。
広陵は部内での暴力事案を巡り、開催中の全国高校野球選手権大会で1回戦を勝利した後に出場を辞退していた。同校は「暴力事案について第三者委員会の結論が出ていないことなどから現在の指導体制を継続するのは困難だと判断した」としている。
中井氏は1990年に就任。91年春と2003年春のセンバツ大会で全国制覇に導くなど監督として歴代7位の春夏通算41勝を挙げ、多数のプロ野球選手を育てた。21日、毎日新聞の取材に「監督として責任を感じている」と話した。
広陵は今月5日、今年1月に下級生の硬式野球部員が部で禁止された行為を寮でしていたとして複数の上級生部員が暴力を振るい、3月に日本高校野球連盟から厳重注意を受けたと明らかにした。その後、別の事案について交流サイト(SNS)に投稿されていることが確認された。この事案について広陵は、第三者委員会の調査に事実確認を委ねているとしている。
一方、広島県高校野球連盟は21日、23日に始まる秋季県大会地区予選への広陵の出場を了承したと発表した。県高野連によると、広陵から指導体制の見直しと、部員へのアンケートで現1年生と2年生による暴力やいじめなどがないことを確認したとの報告を受けたという。
県高野連は一連の問題について、「学校側の保護者への説明が不十分だったとみている」と指摘。広陵への指導として、新事実が判明した場合はただちに報告することや、被害者側に丁寧な対応をすることなどを求めた。県高野連は、暴力・ハラスメントの根絶や不祥事発生時の対応徹底を、9月16日に開く責任教師への研修会などで全加盟校に対して求めるという。【安徳祐、西山夏奈】
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