気象庁は21日、九州の西の海上で台風12号が発生し、同日午後5時すぎに鹿児島県日置市付近に上陸したと発表した。ゆっくりとした速度で東へ進んでおり、鹿児島県では22日夕方にかけて線状降水帯が発生し大雨となる恐れがある。気象庁は土砂災害や低地の浸水、強風などへの警戒を呼びかけている。
21日午後5時時点の中心気圧は998ヘクトパスカル、最大風速は20メートル。22日午後にかけて九州南部を横断し、熱帯低気圧に変わる見通し。
21日は鹿児島県内で猛烈な雨が降り、いちき串木野市では午後2時半までの1時間に約120ミリを観測。大雨の影響で九州新幹線は熊本―鹿児島中央間で一時運転を見合わせた。
22日午後6時までの24時間に予想される降水量は、いずれも多い所で、鹿児島県300ミリ、宮崎県180ミリ。8日の大雨で被災した鹿児島県霧島市や姶良市では土壌が緩んでおり、土砂災害への厳重な警戒が必要としている。台風の速度が遅いため、長時間にわたり同じ場所で大雨となる可能性もある。
台風は赤道付近の海上で多く発生するが、台風12号は鹿児島県薩摩川内市の西約90キロの海上で発生した珍しいケース。気象庁によると、記録が残る1951年以降、北緯30度以北の九州の西海上で台風が発生したのは60年の19号▽66年の17号▽67年の15号――の3事例のみ。【宗岡敬介、山崎あずさ】
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