
戦時中、京都大(京都帝国大)は軍への協力で組織を拡大した――。
「自由の学風」で知られる京大の軍事協力に焦点を当てた企画展「京都帝国大の『戦争』」が京都市左京区の大学歴史展示室で開かれている。
これまでは、学徒出陣をはじめ、「学生と戦争」という観点で企画展を開催してきたが、今回は大学全体と、理科系と文科系のそれぞれの研究教育活動における戦争との関わりを見つめている。
戦争・軍との関係が顕著なのは工学部を中心とする理系だった。日中戦争が始まった1937年度から45年度までの間、京大は計46もの講座を新設。このうち最多が工学部の27で、航空関係が7、燃料化学が5と目立つ。他は医学部7、理学部6、農学部1。一方、文系では経済学部3、文学部2だった。
工学部では燃料化学科、化学機械学科、繊維化学科、航空工学科が新設された。文部省への提出資料には「高度国防国家確立のためには資源開発・増産による生産力の拡充および重要産業の飛躍的発展、それを指導担当すべき有能な研究者・技術者の育成が急務」と記された。
学科別の縦割りになっていた従来の工学部とは別に、実践的な戦時協力のため、総合的な第二工学部の創設も計画。東京帝大では42年に設置されていた。京大でも43年の評議会で審議され、44年度の概算要求に経費が盛り込まれたが、実現はしなかった。
また、米英との開戦後、…
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