埼玉大は、学部の授業料を2026年4月入学者から2割引き上げることを検討していると明らかにした。値上げされれば国が定める授業料標準額の改定に伴って引き上げられた05年以来となり、金額は現行の53万5800円から64万2960円になる。10月上旬をめどに最終決定するとしている。
埼玉大は20日、坂井貴文学長名で「機能強化のための授業料改定の検討について」と題する文書を公表。学部と経済学部夜間主コースの授業料を2割引き上げるほか、大学院の修士、博士(前期・後期)、専門職学位課程についても27年4月入学者から2割引き上げることを検討しているとした。
理由として、大学を取り巻く社会環境の変化を挙げ「これまでの自己財源確保や経費節減等の取り組みに加え、安定的かつ基盤的な収入の増加を図る必要がある」としている。
文部科学省令で定める国立大の授業料標準額は53万5800円。各大学の裁量で最大20%上乗せできる仕組みで、埼玉大はこの規定を踏まえた最大幅の値上げを検討している。
授業料の値上げを巡っては東京大が25年4月入学者から20年ぶりの値上げに踏み切った。国立大の財務状況は人件費や物価の高騰、国からの「運営費交付金」の減少などの影響で逼迫(ひっぱく)しており、東大の値上げが他大学の判断に影響する可能性が指摘されていた。
名古屋工業大も26年4月入学者から学部の授業料を2割引き上げることを検討している。名古屋工業大はこれまでに学生や保護者らと議論を重ねてきたといい、9月下旬をめどに結論を出すという。【木原真希】
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