奈良県天理市で今秋開かれる「全国コットンサミット天理大会」の実行委員会は、綿花栽培の実態を把握して国内綿産業の振興につなげようと、栽培量などの全国調査に乗り出した。本格的な全国調査は60年ぶりで、今年度中に報告書をまとめる。委員会は「1本でも育てている人は協力してほしい」と呼びかけている。
国内の綿花栽培は戦前まで盛んだったが、戦後は安価な輸入綿布に押されて急激に衰退。詳細な全国調査も1965年の農林省(現農林水産省)の統計調査を最後に途絶えていた。当時の調査では作付面積188ヘクタール、綿の収穫量56トンだった。
国内の栽培実態が分からない状況が長年続く中、実行委はサミット天理大会(11月15、16日)の開催を機に全国調査を企画。既に生産者などに約1400通のアンケートを送付した。さらに、プランターや家庭菜園などで趣味で育てている人などに向け、サミット特設サイトを通じて回答を求めている。
調査内容は①収穫量②栽培面積③栽培株数――など。調査期間は2026年1月末までで、サミット期間中に中間報告を行う。
実行委の梅田正之委員長は「今の綿の国内自給率はほぼ0%と言われているが、それが0・1%なのか、0・01%なのかが分からない。正確なデータをまとめ、綿製品のサプライチェーン(供給網)強化と自給率向上に向けた土台を作りたい」と話している。問い合わせ、回答用紙のダウンロードはサミット特設サイト(https://cottonsummit2025tenri.com/)へ。【望月靖祥】
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