北海道は22日、ヒグマの目撃情報の増加や人身事故の発生を受け、例年9月に始める秋の「ヒグマ注意特別期間」を前倒しして開始した。キノコ狩りなどで山林に入る機会が増え、冬眠前に活動が活発化するヒグマと遭遇する可能性が高まるとして注意を呼びかけている。
期間は10月末まで。2002年に始まった注意特別期間の前倒しは初めて。道によると、7月に道警に寄せられたヒグマの目撃通報件数は700件程度で、過去5年間で最多だった23年の534件を大幅に上回っている。鈴木直道知事は22日の定例記者会見で「人里周辺で出没が相次いでいることを忘れず、出合わないためのルールを守っていただきたい」と話した。
斜里町の知床半島にある羅臼岳で登山中の男性がヒグマに襲われて死亡した事故を巡り、道は加害個体の銃駆除を批判するなどの電話やメールが道に160件以上、斜里町に100件以上寄せられたと明らかにした。多くが道外からで、鈴木知事は「人命最優先で対応しているさなかにマンパワーの制約を受ける。道内に住んでいないとヒグマの怖さが自分ごととして分かりにくいのかもしれない」と語り、冷静な判断を求めた。【片野裕之】
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