◇「あんぱん」登美子役・松嶋菜々子インタビュー(2)
女優の今田美桜(28)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「あんぱん」(月〜土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は29日、第87回が放送され、女優の松嶋菜々子(51)が圧倒的な存在感を示してきた登美子が本格再登場を果たした。序盤こそ“ヒール役”になったものの、神出鬼没な人気キャラクターに。好演が反響を呼ぶ松嶋に、撮影の舞台裏を聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」シリーズなどのヒット作を放ち続ける中園ミホ氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算112作目。国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜いた夫婦を描く。
登美子の登場は、愛息・柳井嵩(北村匠海)の出征式に駆けつけ「死んだら駄目よ。生きるのよ!」と涙ながらに叫んだ第50回(6月6日)以来。嵩の復員を祝福しようと突如、若松のぶ(今田美桜)の部屋を訪問。「漫画なんて大の男がやることじゃないでしょう」「才能があるなんて、嵩をそそのかすのはやめてちょうだい」などとクギを刺し、嵩はまたもタジタジになった。
嵩と千尋(中沢元紀)の美しく利発な母。文化的な教養も豊かだが、勝ち気な一面も。兄弟が幼い頃に最愛の夫・清(二宮和也)を亡くし、奔放な振る舞いが愛息を翻弄してしまう。
第10回(4月11日)、再婚先の家を一人で歩いて訪ねてきた嵩(木村優来)を「親戚の子」呼ばわりし「ここに来ちゃもういけないの。伯父さんのところに帰りなさい。おなかすいてるでしょ?このお金で何か食べて帰りなさい」と追い返した。
その後、8年間、音沙汰なし。離縁し、第14回(4月17日)のラストで突如、御免与町に戻って嵩と再会。柳井家に居座った。
千尋を引き取った伯母・千代子(戸田菜穂)と当初は折り合いが悪く、嵩の進路を医師と勝手に決めた挙げ句、第20回(4月25日)で「(浪人の)1年なんて待てないわ。もういいわ、好きにしなさい。私の言いなりになるなって、千尋にも言われたでしょ。2人とも、このおなかを痛めて産んだ子なのにね。じゃあね、嵩」――。再び嵩と千尋を置いて、御免与町から去った。
視聴者の感情移入を誘う好演のあまり、身勝手に映る登美子の言動に対し、インターネット上には怒りや反感などの声が殺到。ただ、トリックスター的な役割で物語をかき乱しながら、松嶋にしか成し得ない気品も兼ね備えた演技と存在感により、登美子の憎み切れない絶妙なポジションを確立。ドラマ序盤を牽引した。出征式の“母の叫び”には一転、拍手喝采の嵐。神出鬼没の再登場に注目が集まっていた。
“ヒール役”となった序盤の大反響について尋ねると、松嶋は日頃、あまりSNS上の感想をチェックしないものの「予想通りでした」と述懐。「マイペースに言いたいことを言う、登美子さんを演じる気持ちよさはありますが、皆さんの反応を見てから台詞をしゃべるわけではないので(笑)」と冷静に受け止めた。
一方、女手一つで子どもを育てる大変さなど「当時の時代背景を理解して、登美子というキャラクターを受け入れてくださる方々も大勢いらしたのはありがたかったです。お着物がきれいといった反響も、衣装さんが一生懸命選んでくださったので、うれしく思います」と感謝した。
松嶋の代表作の一つ、2000年10月期のフジテレビ“月9”「やまとなでしこ」のメイン脚本も中園氏。その魅力については「シリアスな展開の中にも、コミカルな部分や軽やかさがありますよね」とズバリ。登美子絡みだと第49回(6月5日)、嵩の恩師・座間晴斗(山寺宏一)が「おまえのことを嵩って呼ぶ日が来るかもしれんな」「俺の義理の息子になってもいいって意味か」と一目惚れしていたのが好例だ。
演出陣を通じて「『私のことは気にせず書いてください』とお伝えしました。また視聴者の皆さんをザワつかせるような台詞を登美子が言うのかもと、楽しみにしています」と明かした。
=インタビュー(3)に続く=
「あんぱん」松嶋菜々子が存在感!序盤“ヒール登美子”「予想通り」中園ミホ氏に「私のことは気にせず…」
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