ガザ、中東で初の「飢饉」認定 IPC「完全に人為的なもの」と批判

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パレスチナ自治区南部ハンユニスで、食料の受け取りを待つ住民ら=2025年8月21日、ロイター 拡大
パレスチナ自治区南部ハンユニスで、食料の受け取りを待つ住民ら=2025年8月21日、ロイター

 国連機関や人道支援団体などの連合体「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の飢饉検討委員会は22日、パレスチナ自治区ガザ地区の食料状況に関する報告書を公表し、北部ガザ市と近郊で「飢饉」が発生していると認定した。IPCによると、中東で飢饉が認定されたのは初めて。イスラエルが支援物資の搬入を制限し餓死者が相次ぐ中、「この飢饉は完全に人為的なもので、阻止することが可能だ」と指摘している。

 IPCの報告書によると、ガザ地区では人口約200万人のうち、約51万4000人(26%)が「壊滅的飢餓」に陥っており、約107万人(54%)が「人道危機」の段階にある。中部デルバラーと南部ハンユニスでも9月末までに飢饉が発生すると予測しており、十分な食料や水などを配布しなければ「回避可能な死が指数関数的に増加する」と警告した。

 また、来年6月までに5歳未満の子供少なくとも13万2000人が急性栄養失調となり、このうち4万1000人が死亡するリスクが高いとも試算している。調査環境の厳しさなどから、ガザの状況は「過小評価されている可能性が高い」ともしており、実態はさらにひどい可能性がある。

 一方、イスラエル外務省は声明で、報告書は「フェイク」だと反発し、「ガザで飢饉は起きていない」と主張した。

 IPCは食料の供給状況を5段階で評価する指標。飢饉は▽人口1万人のうち2人以上(または子供1万人中4人以上)が毎日、栄養失調などで死亡▽20%以上の世帯が食料不足に直面▽子供の30%以上が急性栄養失調――の3条件を満たす場合に認定される。7月に発表されたIPCの報告書は、飢饉に向けて「最悪のシナリオ」が進んでいると警告していた。

 ガザではイスラエルが3月、支援物資の搬入を停止し、戦闘を再開させた。5月以降はイスラエルと米国が主導する「ガザ人道財団」(GHF)が食料配布拠点を設けたが、わずか4カ所にとどまっている。物資を受け取りに来た住民がその途中で発砲などにより殺害されるケースも相次いでおり、これまでに1000人以上が死亡した。

 7月下旬にはヨルダンなど各国による食料の空中投下も始まったが、必要な量には遠く及ばず、落下した物資の直撃による死傷者も続出している。

 過去にIPCが飢饉を認定した事例には、ソマリア(2011年)、南スーダン(17、20年)、スーダン(24年)がある。【カイロ金子淳】

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