興南で春夏V捕手、緻密な沖縄尚学に「潮流変わる」 夏の甲子園

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第92回全国高校野球選手権大会で優勝を決め喜ぶ興南の島袋洋奨投手(左)と山川大輔捕手=阪神甲子園球場で2010年8月21日、大西岳彦撮影 拡大
第92回全国高校野球選手権大会で優勝を決め喜ぶ興南の島袋洋奨投手(左)と山川大輔捕手=阪神甲子園球場で2010年8月21日、大西岳彦撮影

 全国高校野球選手権で初の決勝に進出した沖縄尚学は23日、初の夏の頂点を懸けて日大三(西東京)と対戦する。

 沖縄勢が前回、深紅の大優勝旗を手にした2010年、興南の捕手として春夏連覇に貢献し、現在は社会人野球の沖縄電力でプレーする山川大輔さん(33)は「沖縄の野球の潮流の変化を感じる」と語る。

 今大会の沖縄尚学は、2年生の末吉良丞(りょうすけ)投手と新垣有絃(ゆいと)投手の二枚看板と堅守を最大の武器に勝ち上がってきた。特に守りに関しては沖縄大会は5試合を通じて無失策で、甲子園に来てからも1回戦から準々決勝まで4試合で1失策。準決勝こそ4失策とミスが続出したが、堅い守りが原動力となった。

 堅守を生むのが「実打」と呼ぶ守備練習だ。コーチらがノックをする打球ではなく、トス打撃で打者が打った球を取ることにより、実戦に近い形で「生きた球」に対応し、守備力を磨いてきた。

 主将で遊撃手の真喜志拓斗選手(3年)は「腰を落として、低く目線を下げることを意識する。打球と目線を近づけることで、より確実にゴロが捕球できる」という。

興南が春夏連覇をした際の主力捕手で現在は沖縄電力でプレーする山川大輔さん=北九州市民球場で2025年5月8日、角田直哉撮影 拡大
興南が春夏連覇をした際の主力捕手で現在は沖縄電力でプレーする山川大輔さん=北九州市民球場で2025年5月8日、角田直哉撮影

 山川さんは自身の高校3年の夏を振り返り、「自分たちの時は流れに乗ったらどんどん勢いづくが、少し失点やミスが続くと一気に元気がなくなる。気持ち的にも多少のムラがあった」。

 チームは島袋洋奨さん(現・興南コーチ)という絶対的なエースを擁していたことから、失点はある程度防げると想定し、野手はとにかく打力を強化して点を取ることに集中したという。

 10年夏の甲子園大会は1回戦=鳴門(徳島)9―0▽2回戦=明徳義塾(高知)8―2▽3回戦=仙台育英(宮城)4―1▽準々決勝=聖光学院(福島)10―3▽準決勝=報徳学園(兵庫)6―5▽決勝=東海大相模(神奈川)13―1――と得点力も発揮して頂点に駆け上がった。

 打力で圧倒した当時の興南の形とは一変して、堅守を土台に細部にこだわるプレーを展開する今の沖縄尚学の快進撃に、山川さんは「隙(すき)を見せずに1点を争う接戦を勝ちきる。新しい沖縄の高校野球を見せてくれている」という。

 近年の沖縄の高校野球界は沖縄尚学や興南などの強豪私学、宜野座や名護などの公立伝統校、エナジックスポーツなどの新鋭校がしのぎを削る。

 さらに低反発バット導入の影響で各校の差は縮まり、より一層群雄割拠の様相を呈している。山川さんは「勢いだけではなく手堅さや緻密さの重要性が増している。それが沖縄の野球をさらに進化させていく」と期待した。【角田直哉】

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