「人工光合成」早期実用化へ 環境省が基盤づくりに29億円

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環境省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影 拡大
環境省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 環境省は、太陽光と二酸化炭素(CO2)から人工的に燃料などを生み出す「人工光合成」の早期の実用化と産業化に向けた基盤づくりを本格化させる。人工光合成を含むCCUS(CO2の回収・使用・貯留)の関連費用として新たに29億円を2026年度の概算要求に盛り込む。

 人工光合成は、植物の光合成と似た化学反応で、太陽光を使ってCO2から水素や有機物などを作り出す。大気中のCO2を減らし、エネルギー源に変換できる「脱炭素の切り札」として期待される。国内外で研究開発が進められているが、エネルギー変換効率の低さなどの課題があり、まだ実用段階にない。

 産業技術総合研究所によると、太陽光発電のエネルギー変換率は20%程度とされるのに対し、人工光合成の実用化の目安は10%とされる。国内では、トヨタグループの豊田中央研究所(愛知県)が21年に10・5%を達成した。ただし、高性能な装置のコスト低減や耐久性向上などクリアすべき課題がある。

 環境省は5月、浅尾慶一郎環境相の肝いりで、人工光合成の実用化の課題を議論する有識者検討会を設置した。秋ごろに、早期実用化に向けたロードマップ(行程表)の策定を目指している。【大野友嘉子】

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