スルガ銀が不法行為「アパマン民事調停」地裁が74件認定

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 スルガ銀行の投資用不動産をめぐる不正融資に関し、東京地裁で続いている民事調停でこの夏、二つの動きがあった。一つは調停を申し立てた物件購入者400人のうち男性1人が銀行と和解したこと。もう一つは地裁が一部物件の融資について「スルガ銀行の不法行為が成立する」との見解を初めて出したことだ。銀行に「違法有責性」があり、損害賠償責任が生じると裁判所が認めた。詳しく説明する。

74物件は「銀行に責任あり」

 7月22日の調停で、不動産業者T社(東京都)が仲介してスルガ銀行が中古アパート・マンション物件の購入者53人に融資した93物件が取りあげられた。調停で争われている物件は全体で約800あり、スルガ銀行に顧客を紹介した仲介業者は数十社にのぼるが、T社の仲介数は最大規模だ。

 93物件の融資額の合計は157億円で、1件の最大融資額は3億5100万円、1人あたりの平均融資額は約3億円だった。物件は関東、東海、北陸、近畿、中国、九州地方と多岐にわたる。2012年から始まり、不正融資が見つかる直前の17年まで実施された。融資後、賃貸の家賃収入が見込みを大幅に下回り、返済できなくなった。

 T社物件が取りあげられたのには理由がある。弁護団がT社の社長に接触し、スルガ銀行の担当者とのやりとりを聞き出していた。社長は物件の月ごとの家賃収入を記載した「レントロール」が改ざんされ、融資が行われたと証言していた。

 裁判所の見解は、93物件のうち74物件(購入者46人)は「銀行の不法行為が成立する」だった。レントロールの改ざんを、担当行員が「認識していた」か「認識し得た」と判断した。さらに、物件の実際の収益と改ざんで水増しされた家賃の収益を比較し、1.2倍以上の差がある場合に「高値づかみ」の原因となったとの考え方を示した。

残る「19物件」は?

 見解は地裁の最終判断ではなく、現時点の証拠に基づいたものだ。今…

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