天皇、皇后両陛下、元硫黄島民と懇談 静養先の那須御用邸で

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 天皇、皇后両陛下は26日、静養先の那須御用邸(栃木県那須町)で硫黄島(東京都小笠原村)の元島民と懇談された。太平洋戦争末期、島民のほとんどが強制的に本土に疎開させられ、帰島できなかった。那須で暮らす元島民2人が戦中戦後の苦労を語り、両陛下は「つらい思いをなさいましたね」「よくご無事で」などと耳を傾けていた。

 1944年7月、軍属として残された男性を除く約1000人の島民が本土に強制疎開した。戦後、身寄りのない島民の一部が那須に開拓団として入植し原野を開墾。側近によると、そうした歴史を書籍や新聞記事で知っていた両陛下の意向で懇談が実現した。

 天皇陛下が「いらっしゃっていただき、ありがとうございます」と伝えて始まった懇談は50分ほど。豊富な果物が実る南の島の生活から一転し、開拓を経験した原ヤイ子さん(94)は「こんなところに住めるのだろうかと思った」と両陛下に伝えたという。渡部敦子さん(95)は「硫黄島は毎日、毎日空襲で」などと戦時下の島の状況を説明した。

 戦後80年の今年、両陛下は4月に硫黄島を初めて訪ねて戦没者を慰霊した。原さんも渡部さんも懇談後の取材に「ありがとうございますと伝えたくてここに来た」と明かした。両陛下に感謝の思いを伝えたという。【山田奈緒】

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