たばこポイ捨て、大阪・なんばがワースト1位 東京と大差のわけは?

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自動販売機の下に捨てられたたばこの吸い殻=大阪市中央区で2025年8月18日午後0時54分、鈴木拓也撮影
自動販売機の下に捨てられたたばこの吸い殻=大阪市中央区で2025年8月18日午後0時54分、鈴木拓也撮影

 全国6地点でポイ捨てされたたばこの吸い殻を数えたところ、大阪・なんばが大差でワースト1位だった。

 飲食店経営者ら約2500人が加盟する大阪府飲食業生活衛生同業組合は、このような調査結果を公表した。今年1月に大阪市内全域で路上喫煙が禁止されたが、繁華街などでは喫煙所の不足が指摘されており、組合は行政に対策の強化を求めている。

なんば駅付近は東京駅の4倍

 組合はマーケティング会社「スピン」(東京都)に委託し、今年6月、東京や大阪など全国6地点で調べた。ある一日の午後5~9時、調査員2人が主要駅を起点に街を歩き、路上に落ちていた吸い殻を数えた。

 その結果、最も多かったのは、大阪市中央区(なんば駅)で4284本だった。ワースト2位だった福岡市中央区(天神駅)の1033本の4倍に達した。その他は多い順に、東京都千代田区(東京駅)1026本▽名古屋市中村区(名古屋駅)699本▽札幌市中央区(札幌駅)589本▽大阪市北区(梅田駅)365本――だった。

全国6地点のたばこのポイ捨て数と特徴
全国6地点のたばこのポイ捨て数と特徴

 なんば駅周辺には、道頓堀などの観光スポットや繁華街がある。インバウンド(訪日客)も多く、路上喫煙が禁止されていない国から来た人にルールを周知するのも難しい。

 スピンは、他のエリアに比べて喫煙所の数が少ないことが、路上喫煙やポイ捨ての多さにつながっていると分析する。業界関係者も「なんば駅に近い喫煙所はパチンコ店内にあるものが多く、客以外は使いづらいのだろう」と推察する。

6割の人がポイ捨てを週1回以上目撃

 府飲食業生活衛生同業組合は今年5月、スピンに依頼し、大阪市内の喫煙所の設置状況などを調査し、市内在住・通勤の800人(喫煙・非喫煙各400人)が回答した。その結果、全体の66・9%が「喫煙所が足りない」と答え、喫煙者に限ると87・9%に達していた。ポイ捨てを週1回以上見かけると答えた人は全体の57・9%を占めた。

 喫煙者を対象に、外出先で喫煙所が見つからない時の対応を聞くと、「喫煙を我慢する」としたのは73・6%だったが、「路上で喫煙する」「コインパーキングなど私有地で喫煙する」という回答もそれぞれ2割ほどあった(複数回答)。

路上喫煙の禁止は賛成だが……

ポイ捨てされたたばこの吸い殻=大阪市中央区で2025年8月18日午後1時1分、鈴木拓也撮影
ポイ捨てされたたばこの吸い殻=大阪市中央区で2025年8月18日午後1時1分、鈴木拓也撮影

 なぜ、飲食店経営者らの組合が、わざわざ調査したのだろうか。中村実事務局長は「路上喫煙の禁止や受動喫煙の防止は大賛成だ。ただ、行政の責務を果たせないなら(規制は)やらない方がいい」と語気を強める。

 大阪市は、JR大阪駅や戎橋・心斎橋筋の周辺など市内6地区に限っていた路上喫煙禁止エリアを、今年1月から市内全域に広げた。さらに大阪府は4月、客席面積が30平方メートルを超える府内の飲食店内を原則禁煙にした。市と府の条例で、それぞれ違反者には過料を科す。

 市条例は「分煙施設の整備その他路上喫煙の防止のために必要な施策」の実施を市の責務と明記する。市は6月1日時点で喫煙所として約380カ所を確保したが、飲食店関係者などから増設を求める陳情が市議会に寄せられている。

 組合によると、特に酒を提供する店にとっては、店内で喫煙できないと客足が遠のき、経営の痛手となる。喫煙室を整備すれば店内でもたばこを吸えるが、スペースを確保するために、客席を減らさざるを得ない。経済的な負担や売り上げ減にもつながりかねず、二の足を踏む店も多いという。中村さんは「行政には、調査結果を今後の取り組みに役立ててほしい」と話す。

 市も実態把握を進めており、近く中間とりまとめを公表する。対策の優先度が高いエリアを抽出し、企業などに喫煙所の整備などを要望する方針だ。大阪・関西万博閉幕後の状況も調べた上で、年末に最終とりまとめを目指す。【鈴木拓也】

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