トランプ米大統領は26日、米連邦準備制度理事会(FRB)の理事について「我々は近く過半数を握る。素晴らしいことになるだろう」と述べた。利下げ慎重派のクック理事を解任する一方、自らの意向に従う人物を理事に指名して多数派を形成し、早期利下げを実現する狙いを露骨に示した形だ。
ホワイトハウスで開いた閣議の後に、記者団の質問に答えた。トランプ氏は「過半数を獲得すれば、住宅政策は大きく転換し、素晴らしい結果をもたらす」と強調。「人々は高過ぎる金利を払っていて、引き下げる必要がある。実現すれば状況は劇的に変わるだろう」と述べた。
クック氏について「明らかに違反行為を犯したようだ。我々が必要とするのは100%清廉潔白な人物だ」と一方的に主張。自らに近い連邦住宅金融局(FHFA)のビル・パルト局長が主張する、クック氏の住宅ローン申請不正疑惑を事実と決めつけた。
一方で「私は裁判所の決定に従う」と述べ、今後の司法判断を尊重する意向も示した。
FRBの理事7人(議長、副議長含む)のうち、トランプ氏が1次政権時代に指名したボウマン副議長とウォラー理事の2人はトランプ氏の主張する利下げを支持する立場。さらに利下げ慎重派の理事が8月上旬、理由を明かさず退任し、トランプ氏に近い大統領経済諮問委員会(CEA)のスティーブン・ミラン委員長が後任となる見通し。
仮にクック氏が解任されトランプ氏に近い人物が代わりに送り込まれれば、FRB理事7人のうち4人が利下げ支持派となる。
ただ、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)では、5人の地区連銀総裁も投票権を持っている。理事メンバーで多数派となっても、政策決定権を握れるわけではない。【ワシントン大久保渉】
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