/457 上田岳弘 倉田悟・絵

Date: Category:カルチャー Views:1 Comment:0

 私の恋人の人柄をそう簡単に、一言で言い表すことはできない。かといって、何万字を費やして詳述しようとしても、とても言い表すことができない気がする。むしろ書けば書くほどに実態からは遠ざかっていくように思えてしまう。

 性格を記すなら、内気というのとは違うし、誰か他人の目を気にすることもない。何を考えているのか傍目(はため)からはわからず、次に何を言い、何をするのか予測するのは難しい。

 私が私の恋人を思い浮かべるとき、頭に浮かぶのは純粋に単独で存在する元素だ。例えばある元素が持つ特徴をいくらでも挙げることはできるだろう、しかしそれがなぜこの世に存在するのかを説明できないように、私の恋人の存在を、魅力を私はうまく説明できるとは思えない。

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