東京電力ホールディングス(HD)は31日発表した2025年4~6月期連結決算で、福島第1原発1~3号機で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しに向けた準備費用などとして9030億円の特別損失を計上した。同期の最終(当期)損益は8576億円の赤字(前年同期は792億円の黒字)となった。
東電HDと廃炉の工法を検討している原子力損害賠償・廃炉等支援機構は29日、3号機のデブリの本格的な取り出し作業を具体化する調査で、放射線量の低減や作業の妨げになる構造物の撤去などが必要になると明らかにした。作業には12~15年かかる見込みで、取り出しの開始時期が30年代初頭から37年度以降にずれ込む見通しを示していた。
東電HDは今回の特別損失計上は「廃炉の進捗(しんちょく)を示すものだ」などと説明。廃炉のため積み立てている費用は7000億円程度あるなどとして当面の費用は問題ないと強調した。【中島昭浩】
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