国内最大級のアートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2025」(瀬戸芸)の夏会期が1日、始まった。夏会期から会場に加わったのが、香川県東部の「志度・津田エリア」(さぬき市)と「引田エリア」(東かがわ市)だ。開幕直前にあったプレスツアーに参加した。【佐々木雅彦】
津田では景勝地「津田の松原」に、約1万3000枚の眼鏡レンズを取り付けたチェーンを松の枝からつり下げた作品「時間との対話」が目を引く。テーマは「木の魂を表す」。カナダを拠点に活動する制作者のケイトリン・RC・ブラウンさんとウェイン・ギャレットさんは「作品を通して松や時間と対話してみてほしい。この空間を回遊しながらレンズ越しに周りを見れば、普段と違った風景が現れます」と話していた。
東かがわ市は手袋産業が盛んで、生産量は国内シェア90%を誇る。引田での主要作品の一つが、巨大手袋「みんなの手 月まで届く手袋を編もう!」(ロシアのレオニート・チシコフ作)。改装した木造建物「東かがわ手袋ギャラリー」の中央に、古い縫製用ミシンや型抜き道具などに囲まれて配置されている。思い出が残る古着を地元の人に提供してもらい、一緒に細く裂いて全長3メートルに編み上げた。世代を超えた記憶が詰まった作品だ。
志度は四国霊場86番札所・志度寺の門前町として栄えた。境内には、竹やウォーターボトルなどを組み合わせた高さ約4メートルの作品「メブヤンのバランガイ(メブヤンの船または聖域)」が展示された。制作したリーロイ・ニューさん(フィリピン)は「メブヤンはフィリピン神話の女神、バランガイは古代の船。作品は、フィリピンの伝統文化から未来を切り開く宇宙船のような大きな器」と説明した。
瀬戸芸は春、夏、秋の3会期に分けて香川・岡山両県の島々や沿岸部で開催される。夏会期は8月31日まで。秋会期は10月3日~11月9日。詳細は公式ホームページ(https://setouchi-artfest.jp/)。
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