
トランプ米政権の相互関税が本格発動する。日本や欧州連合(EU)などは税率引き下げを実現したが、歴史的な高水準であることには変わりなく、これが固定化する。猛威を振るう「トランプ関税」を前に、世界の経済成長を支えてきた自由貿易体制は崩壊の瀬戸際に立たされている。
メーカー「何を信じればよいのか」
日本の自動車業界には、日米間で合意した自動車関税の15%への引き下げがこの日発表されなかったことへの当惑が広がった。
「15%を前提に部品調達などの経営戦略を再考しているが、最終的なGOサインは出せない」。大手自動車メーカー幹部は嘆く。別のメーカー関係者も「国家間の合意が形骸化するなら、何を信じればよいのか」とこぼす。
25%の追加関税で日々巨額損失が生じている業界は、米国で生産した車を日本に逆輸入する案を示すなど政府に協力してきた。石破茂首相と7月31日に意見交換した日本自動車工業会の片山正則会長(いすゞ自動車会長)は「更なる関税の軽減も含め米国との未来志向の対話を継続してほしい」と要望していたが、…
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