
佐賀県伊万里市の民家で母娘が殺傷された事件は2日で発生から1週間。事件後、SNS(交流サイト)には外国人を積極的に受け入れる多文化共生施策を批判する書き込みが目立つ。全国の在留外国人数が過去最多となる中、事件が起きる度に社会に広がる不安にどう向き合えばいいのか。移民問題に詳しい名城大の近藤敦教授(憲法学)に聞いた。【聞き手・平川昌範】
――逮捕されたのはベトナム人技能実習生でした。
◆大変残念で痛ましい事件だと思います。ただ、容疑者の動機がまだ明らかでなく、外国人であることや技能実習生であることと事件との関わりについてはまだ何とも言えません。
そもそも国籍や属性、見た目で分類して犯罪の傾向を判断することは偏見や差別につながります。実際、統計上は外国人が増えている一方、外国人の検挙件数は減少傾向です。ただ、統計とは関係なく、こうした事件が起きれば不安を感じる人もいるでしょう。
――日本の在留外国人数は2024年末に376万8977人と過去最多となりました。国の受け入れ施策への批判の声もあります。
◆日本は外国人が少ない特殊な環境が続いてきたため、外国人の増加を不安に思うのはやむを得ない反応です。「単一民族神話」のようなものがあり、「日本人のような人」の割合が高いと思われてきました。
しかし、少子化で深刻な人口減少が続く日本に外国人を受け入れない選択肢はありません。人口…
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