
第107回全国高校野球選手権大会(5日開幕、阪神甲子園球場)は3日、大阪市内で組み合わせ抽選会が行われる。全国3396チームの頂点を射止めるのは――。抽選会を前に多彩な顔ぶれが集まった大会を展望した。
春夏連続出場校のうち、4校が優勝争いの中心になりそうだ。

中でも筆頭格は史上2校目の2度目の春夏連覇を目指す横浜(神奈川)と春の関東大会王者の健大高崎(群馬)だろう。
横浜は主将で中軸の阿部葉太(3年)、投打「二刀流」の奥村頼人(3年)、最速152キロ右腕・織田翔希(2年)らタレントがそろう。流れを変える一発など個の力に優れていることに加え、小刻みな継投策といった組織力もさえる。神奈川大会の準々決勝から3戦連続の逆転勝ちで激戦区を制した。劣勢や他校のマークをはね返して得た経験もチーム力を押し上げる。

健大高崎は「投手王国」として充実する。最速156キロの右腕・石垣元気(3年)、安定感のある左腕・下重賢慎(3年)ら一線級の投手を複数擁する。2024年センバツ大会優勝投手の左腕・佐藤龍月(りゅうが、3年)も群馬大会で肘の靱帯(じんたい)再建手術(通称トミー・ジョン手術)から投手復帰した。打線も迫力があり、攻守に穴のない布陣だ。

対抗は近畿の2校か。センバツ大会準優勝の智弁和歌山は制球力が高い渡辺颯人(3年)、最速152キロの宮口龍斗(3年)の両右腕がチームの軸だ。打線は伝統の強打に加え、1番・藤田一波(3年)ら俊足巧打タイプの器用な選手が多く、つながりに優れる。

昨秋、今春の近畿大会覇者の東洋大姫路(兵庫)は打線に破壊力がある。中軸の高畑知季(3年)らの振りは鋭く、下位打線も長打力がある。投手陣は最速147キロ右腕・木下鷹大(3年)が台頭。故障明けで兵庫大会で登板機会のなかった右腕・阪下漣(3年)の復調ぶりもポイントになる。

沖縄尚学、神村学園(鹿児島)、仙台育英(宮城)も地力が高い。沖縄尚学はセンバツ大会2回戦で横浜に1点差で惜敗。守りは堅く、最速150キロ左腕・末吉良丞(2年)はすごみが増している。

夏の過去2大会4強の神村学園は経験豊富な布陣。大型遊撃手の今岡拓夢(3年)は大会注目のスラッガーだ。

2年ぶり出場の22年夏王者、仙台育英(宮城)は宮城大会5試合でわずか3失点。左腕・吉川陽大(3年)ら選手層が厚い。

大会連覇を目指す京都国際は前回優勝投手の左腕・西村一毅(3年)が世代屈指のエースへと成長した。

前回準優勝の関東一(東東京)は二刀流の左腕・坂本慎太郎(3年)がけん引し、ともにチームの柱の活躍が鍵を握る。

そのほか、俊足の奥駿仁(3年)ら投打に役者がそろう3季連続出場の西日本短大付(福岡)、身長194センチの大型二刀流、菰田陽生(2年)を擁する山梨学院、4番・古城大翔(2年)ら強力打線の花巻東(岩手)も上位進出をうかがう。【長宗拓弥】
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