被爆者暮らす広島のホームに温泉7トン ドラマ縁で今年も贈呈 兵庫

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広島原爆養護ホームへ届けるため湯村温泉の源泉が積み込まれた運搬車=兵庫県新温泉町で2025年7月29日午後3時32分、浜本年弘撮影 拡大
広島原爆養護ホームへ届けるため湯村温泉の源泉が積み込まれた運搬車=兵庫県新温泉町で2025年7月29日午後3時32分、浜本年弘撮影

 6日の広島原爆の日を前に、兵庫県新温泉町と町南部にある湯村温泉の観光協会は、被爆者が暮らす広島市にある二つの養護ホームに温泉の源泉計7トンを贈った。また、恒久平和を願って観光客や住民が作った千羽鶴約3万羽を同市の平和記念公園に納めた。

 新温泉町と広島の交流は、NHKのテレビドラマ「夢千代日記」の舞台が湯村温泉になったことがきっかけだった。吉永小百合さんを主演に、胎内被爆した芸者が白血病と闘いながら生きる姿が描かれ、1981~84年に放映された。

 湯煙の上がる泉源「荒湯」そばに「夢千代像」が建立され、85年には広島市から原爆に遭った旧市庁舎前の敷石が台座石として贈られた。

源泉の足湯につかる「倉掛のぞみ園」の入園者(左)と湯村温泉観光協会の西村一彦副会長(手前)=広島市安佐北区で2025年7月30日(兵庫県新温泉町提供) 拡大
源泉の足湯につかる「倉掛のぞみ園」の入園者(左)と湯村温泉観光協会の西村一彦副会長(手前)=広島市安佐北区で2025年7月30日(兵庫県新温泉町提供)

 源泉は広島原爆養護ホーム「倉掛のぞみ園」(安佐北区)と「神田山やすらぎ園」(東区)に92年から贈られ、新型コロナウイルス禍による中断を除き32回目。7月29日に町内の温泉施設「リフレッシュパークゆむら」で運搬車両2台に積み込まれ、翌日に養護ホーム2カ所の浴槽まで運ばれた。

 折り紙などで作った千羽鶴は、温泉街の観光施設「夢千代館」や旅館で折られたり持ち込まれたりし、毎年数万単位で集まる。町が核兵器廃絶を訴える「恒久平和の町」宣言をした2006年から源泉と一緒に運ばれ、観光協会が平和記念公園にある「原爆の子の像」の折り鶴コーナーに納めている。

湯村温泉の宿泊客や住民らが作った千羽鶴。広島市の平和記念公園に納められた=兵庫県新温泉町で2025年7月29日午前11時50分、浜本年弘撮影 拡大
湯村温泉の宿泊客や住民らが作った千羽鶴。広島市の平和記念公園に納められた=兵庫県新温泉町で2025年7月29日午前11時50分、浜本年弘撮影

 観光協会副会長の西村一彦さん(71)は、97歳で亡くなった母親から大阪の軍需工場で働いた経験を聞いて育った。訪れた養護ホームでは入園者から15歳ぐらいの時、原爆で家の下敷きになったという話を聞いてきた。

 「母親ぐらいの年齢の方から話を聞いていると、皆さんがいたから平和な80年があったのだ、積み重ねた平和の尊さや重みを私に伝えているのだと思った。私たちの取り組みは小さなことだが、だからこそ今後も続けるし、受け継がれるようにしたい」と語った。【浜本年弘】

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