画像の博士はそう言うと、視線を動かした。粒の粗い画像でも、そのことがわかった。
「そして、隣にいるのは、鳥ですね」
意外な言葉に私は虚を突かれる。
「鳥よ、よくやりました。よく世界の壁を、確かすぎる壁を越えました。素晴らしい成果です。あなたならできると私は信じていましたよ」
私が何も言えないでいると、稚拙なドット絵の博士が口を開いた。
「私ですよ。あなたが彼人(かのひと)と追っていた私、壁博士です。こんな風に向かい合うことになるとは思っていませんでしたかね。それはそうでしょうな。私にしたところで、果たして、このかたちで壁越えをやり遂げられるかどうかは未知数でした。鳥よ、あなたは本当によくやりました」
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