トクットクッ……トクットクッ……。1階エントランスの屋根に設置された三つのスピーカー。そこから流れる心臓音は、すぐ横を走る車や電車の音にかき消され、意識しなければ聞こえない。ここは武蔵野美術大市ケ谷キャンパス(東京都新宿区)。美術家の今井祝雄(のりお)さんが1972年7月、美術家仲間の倉貫徹さん、村岡三郎さんと、大阪・道頓堀で発表した「この偶然の共同行為を一つの事件として……」が「再演」されている。
キャンパス内にある「gallery αM」で企画されているプロジェクトの展示作品。このプロジェクトでは、芦屋市立美術博物館(兵庫県芦屋市)の大槻晃実学芸員をゲストキュレーターに迎え、2027年2月までの2年間で八つの展覧会が開かれる。
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