
<神さま マリアさま こんな爆弾を誰がこしらえましたか? 裁いてください 胸が灼(や)けます ただれ落ちる黒こげの花びらです>
8月3日、茨城県筑西市の明野コミュニティセンターで、朗読劇「あの夏の日の記憶 ヒロシマ ナガサキ そして」が上演された。主催はNPO法人「ヒューマンライツネット はらんきょうの会」。広島、長崎に原子爆弾が投下されてから80年。ジョン・レノンさんが平和を願って歌った「イマジン」が流れるなか、登壇した代表理事の加藤由美子さん(75)は「世界では紛争や戦争が絶えない。核兵器使用を口にする人もいる。子どもたちがどこに生まれ、どこに生きようとも夢が持てる世界の実現を願う」と語った。
加藤さんは終戦から4年後、下館市(現筑西市)に生まれた。戦後すぐのころの記憶はあまりない。覚えているのは、傷痍(しょうい)軍人が白い服を着て、街角でアコーディオンを弾きながら歌う姿。「足が木だった」と悲しげに目を伏せる。
戦争に触れたのは1997年夏、東京の劇団「地人会」の朗読劇「この子たちの夏 1945・ヒロシマ ナガサキ」に衝撃を受けた。85年に初演され、全国の劇団に広まった演目だ。
<地獄がこの世にあったとしたら、それは、あのときのことをいうのでしょう。地獄の業火に焼かれなければならない、私たちに何の罪があったのでしょう>
母から子へ、子から母にささげた詩、手記、手紙などの朗読に心を打たれた。「原爆が落とされたという事実だけでなく、多くの人の命がどのように奪われたのか、残された人がどんな思いでいたか、自分の事として考えるようになった」
そんな時、…
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