星野智幸・評 『大日本いじめ帝国』=荻上チキ、栗原俊雄・著

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 (中央公論新社・1870円)

続くスケープゴート生む暴力文化

 例えば、幹部だけで物事を決めて、説明もせずに命令だけし、社員は黙って従えばいい、という社風の会社があるとする。上司は上役の顔色をうかがうばかりで、部下を守りもしないどころか、気分次第で罵倒(ばとう)したり責任を押しつけたりするのが日常。同僚たちには互いを監視して告げ口をすることを強要してくる。わが社の組織風土のおかげで誇りを持って生きることができた、と思う社員ははたしてどのくらいいるだろうか。

 戦前の日本はよかったと言うのは、そんな企業文化をまともだと評価するようなもの。権威的で暴力を黙認する会社なら、いじめもすさまじいだろうことは、想像に難くない。

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