都会などで暮らす人にとっては、あわただしい日常の喧騒(けんそう)を離れ、自然の中でその土地や文化、人々との交流を楽しむことは、心のリフレッシュになります。単なる観光ではなく、地域の生活や文化、産業などを体験するのが「グリーンツーリズム」。その中でも、最近特に人気なのが、農村に特化した「アグリツーリズム」です。
こうした旅は、夏休みが長いヨーロッパでは一般的。実は、7年ほど前に、イタリアのフィレンツェ郊外の農家に泊まったことがありました。
昔、貴族のメディチ家の荘園だったというその農家は、一面のオリーブとぶどう畑の中にありました。宿泊施設は母屋から離れた石造りの建物で、隣の部屋には、イタリア人の親子3代9人家族が泊まっていました。彼らは、夏休みを利用して、そこに1カ月滞在するのだと言っていました。
レジャー施設もなく、子供たちは犬と畑や池を一日中走り回って遊び、大人は本を読んだり、ハンモックで昼寝をしたり。日が暮れると母屋から、農家の女主人のママンが、手作りの卵料理や肉料理を運んできてくれる。ママンが焼いた白パンを自家製のオリーブオイルにひたし、畑で取れたぶどうで造ったお酒を飲む。そんな豊かな大自然の中の夏休みに、みんな満足しているようでした。
日本では、旅行は観光地に行ってへとへとになるというのが定番ですが、ゆったりと農家に泊まって自然を楽しむという旅も、いいものだとつくづく思いました。
「農家民泊」多い価格帯は1泊1人で7500円から1万円
「アグリツーリズム」では、農家に民泊するほか、古民家の一棟貸しや、廃校になった教室を活用してホテルにするなど、さまざまな試みがなされています。
さらに、地元の祭りを見るなどの触れ合い体験で、学校では学べないようなことを体験できるものもたくさんあります。
農家民泊の宿泊代の平均は、1人1泊1万2000円ほどですが、最も多い価格帯は1…
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