東山彰良さんが本紙で2023年8月から約1年半連載した長編小説『三毒狩り』(上・下)が毎日新聞出版から刊行された。処刑され、地獄に落ちた一人の青年が現世とあの世を冒険する中でたどり着いた場所。それは東山さん自身が「あこがれている一つの境地」だと言う。
舞台は1964年、中国・山東省。青年・佟雨龍(とううりゅう)は赤ん坊の頃、養父の佟継漢(けいかん)に拾われた。養母の李秀媚(しゅうび)と姉の李平、そして犬の皮蛋(ピータン)と共に暮らしてきた。だが怒りゆえに殺人を犯し、銃殺刑に処されてしまう。
雨龍が死んだ後にたどり着いたのは地獄だった。そこでは多くの亡者たちが責め苦を受け、漂流していた。ある日、地獄にブラックホールが開き、貪瞋痴(とんじんち)の化身「三毒」が逃げ出してしまう。雨龍は三毒の討伐を命じられ、現世へと戻ってきたのだった。
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