ピンクと紫の花柄のワンピース、8時15分で針が止まった懐中時計、ほほえむシャーリー・テンプル人形――。広島平和記念資料館(広島市)に収蔵された被爆者の遺品や資料を40年以上撮影し続ける写真家、土田ヒロミさん(85)の写真展「ヒロシマ・コレクション―1945年、夏。」が、大阪市北区の中之島香雪美術館で開かれている。被爆から80年の節目の年に、撮りためた作品から約160点を新たにプリントした。
土田さんは39年、福井県生まれで、終戦時は5歳。写真家としては一貫して戦後の日本を主題とし、広島には75年ごろから通い始めた。当時は高度経済成長を経て、被爆の記憶が一般の人からは「見えなくなっていた」時期で、伝えていくことの重要性と使命を感じたと振り返る。復興の進む広島の街を撮る一方で、被爆資料を記録し続けている。
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