声で読もう宮沢賢治/46 「氷河鼠の毛皮」/下 列車の中でかっこうよく

Date: Category:カルチャー Views:1 Comment:0

 俄(にわか)に窓のとこに居(い)た帆布の上着の青年がまるで天井にぶっつかるくらいのろしのように飛びあがりました。

 ズドン。ピストルが鳴りました。落ちたのはただの黄いろの上着だけでした。と思ったらあの赤ひげがもう足をすくって倒され青年は肥(ふと)った紳士をまた車室の中に引っぱり込んで右手には赤ひげのピストルを握って凄(すご)い顔をして立っていました。(「氷河鼠(ねずみ)の毛皮」)

 ここは北へ向かう列車の中。ピストルの音が響きました。危ない。何が起こったのでしょう。

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