戦争を忘れまい〝節目〟の年に映画、ドキュメンタリー、ドラマ続々 旧作も再公開

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戦後80年ドラマ「八月の声を運ぶ男」の一場面=NHK提供
戦後80年ドラマ「八月の声を運ぶ男」の一場面=NHK提供

 終戦80年を迎えるこの夏、戦争を題材とした多くのドラマや映画が発表されている。この夏、あの悲劇を忘れず、そして現在を捉え直し未来への選択を誤らないために、目を向けてみてはいかがだろうか。テレビ、映画館での作品を紹介したい。

NHK 石井裕也監督、池松壮亮主演で開戦前の〝模擬内閣〟

 NHKでは特別ドラマを放送する。

 8月13日は、戦後80年ドラマ「八月の声を運ぶ男」(総合、午後10時)。元長崎放送(NBC)記者の伊藤明彦の著書「未来からの遺言 ある被爆者体験の伝記」を原案に、大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(2020年)などで知られる池端俊策が脚本を手がけた。伊藤をモデルにした主人公、辻原保を俳優の本木雅弘が演じる。

NHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」のキービジュアル=NHK提供
NHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」のキービジュアル=NHK提供

 16、17日の2夜連続(両日とも総合、午後9時)で放送されるNHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」は、真珠湾攻撃の8カ月前の1941(昭和16)年4月、首相直属機関「総力戦研究所」に官民各方面から集められた若きエリートたちの物語。

 「模擬内閣」を作って機密情報を集め、日本がアメリカと戦った場合のあらゆる可能性をシミュレートしていく。原案は、猪瀬直樹によるノンフィクション「昭和16年夏の敗戦」だ。模擬内閣で突然「総理大臣」に指名される宇治田洋一役を池松壮亮が熱演。脚本・演出・編集は、池松を起用した作品も多い石井裕也監督が手がけた。

 31日はNHKスペシャル「大阪激流伝」(総合、午後9時)を放送する。終戦から1970年万博までのとある大阪の町工場の家族をモチーフに描くドキュメンタリードラマ。主演の堤真一をはじめ麻生祐未、波岡一喜、伊東蒼などキャスト陣は全て関西出身俳優で固めた。

「雪風」(C)2025 Yukikaze Partners.
「雪風」(C)2025 Yukikaze Partners.

駆逐艦の軌跡たどる「雪風」

 映画も、新作、旧作の上映が続く。

 沖縄で終戦を知らないまま2年間、樹上に隠れていた2人の兵士を描いた「木の上の軍隊」(平一紘監督)が公開中だ。井上ひさしが原案として残した舞台の映画化で、堤真一、山田裕貴が主演している。

 「長崎 閃光の影で」(松本准平監督)は、長崎原爆投下後、被爆者の救助にあたった3人の看護学生が主人公。原爆の惨状や極限状態での人間模様に迫っている。

「ハオト」©JOE Company
「ハオト」©JOE Company

 「ハオト」(丈監督)は、戦争末期、精神障害を持った人々を収容した特殊施設を舞台に、戦争の愚かさを風刺した作品だ。

 「雪風 YUKIKAZE」(山田敏久監督)は、多くの海戦を生き抜いた、実在の駆逐艦と乗組員たちを描いている。

 ドキュメンタリーでは「黒川の女たち」(松原文枝監督)。終戦間際の満州(現中国東北部)で、性の相手としてソ連軍に差し出された女性たちの声を伝えている。「よみがえる声」は、在日朝鮮人2世の映像作家、朴壽南(パク・スナム)が撮りためた映像を元に、戦後の在日の人々の歴史をたどる。

「野火」4K(C)KADOKAWA 1959
「野火」4K(C)KADOKAWA 1959

新旧「野火」、「この世界の片隅に」

 一方、戦争を描いた過去の作品の再上映も相次いでいる。

 大岡昇平がレイテ島の戦場を描いた小説「野火」は2度映画化され、両作とも上映されている。1959年の市川崑監督版は4Kデジタル修復版で、ベトナム戦争を題材とした米国映画「ジョニーは戦場へ行った」(71年、ダルトン・トランボ監督)と併映中だ。また2014年の塚本晋也監督版は、各地の映画館でアンコール上映が続いている。

 広島原爆投下前後の広島・呉の日常を描いたアニメ「この世界の片隅に」(片渕須直監督)も、各地の映画館で上映中だ。

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