ふるさと納税は、2025年10月以降、納税仲介サイトのポイント付与が禁止になる新ルールが導入する。ふるさと納税は、寄付総額1.3兆円、住民税納税義務者の約6人に1人が利用するまでに拡大し、返礼品競争は熱い。度重なるルールの改正や厳格化は、実効性を疑問視する声もあるが、現実路線として今後も続く可能性は高そうだ。
自己負担2000円の「官製ギフトカタログ」
ふるさと納税は、「納税」の名称があるが、実際には、都道府県や市区町村など自治体への寄付にあたる。自治体に寄付をすると、2000円を超える分を所得税と住民税から差し引く(控除)ことができる制度だ。
制度は菅義偉元首相が総務相時代に肝煎りで導入した。08年の開始当初は利用が低調だったが、11年の東日本大震災で復興支援として知られるようになり、税制改正で15年に控除枠が2倍になると注目度が高まった。
自治体間で特産品など返礼品が競われるようになり、各地の返礼品を比較して寄付申し込みができる民間のふるさと納税仲介サイトが増え、活用が広がった。
利用には原則、確定申告が必要だが、15年からは、会社員らには確定申告なしで済む「ワンストップ特例」が導入され使い勝手も高まった。
総務省によると、24年度にふるさと納税で自治体が受け取った寄付額は計1兆2728億円と5年連続で過去最高を更新した。住民税の控除を受けた人は約1080万人で、住民税の納税義務がある人のうち、約6人に1人が利用した計算だ。
広く普及した要因は、返礼品をめぐる「ゲームの構造」にある。
ふるさと納税をすれば、実質的に2000円を負担するだけで返礼品が手に入る。納税者には、…
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