家族の日記でたどる日中戦争 ドキュメンタリー16日から 東京

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日中戦争の戦中日記をテーマにした映画「豹変と沈黙」の原義和監督=東京都新宿区のK's cinemaで2025年7月23日、上東麻子撮影 拡大
日中戦争の戦中日記をテーマにした映画「豹変と沈黙」の原義和監督=東京都新宿区のK's cinemaで2025年7月23日、上東麻子撮影

 日中戦争に従軍した兵士たちの戦中日記を基にしたドキュメンタリー映画「豹変(ひょうへん)と沈黙 日記でたどる沖縄戦への道」が16~29日、東京都新宿区のK’s cinema(ケイズシネマ)で上映される。

 原義和監督(55)は、沖縄を拠点にドキュメンタリーを製作してきた。精神障害者の私宅監置を描いた前作、「夜明け前のうた 消された沖縄の障害者」は文化庁映画賞を受賞した実力派だ。戦争体験者が少なくなる中、4人の一兵卒の日記に着目した。

 一人は沖縄出身の金城信隆さん。日中の懸け橋になろうと上海のエリート校「東亜同文書院」に入学するも、通訳として戦場に駆り出され、「悪夢にうなされる」など不安をつづりながら戦死した。

 他にも、山本武さんの日記には戦友を失う中、敗残兵や女性、子どもまで手にかけていった様子が記されていた。南京攻略戦に関わった武藤秋一さんは、初めて中国兵を殺した時の衝撃や休日に慰安所に行ったことも書き残していた。

 原さんはそれぞれの家族も取材し、家庭では「よき父」「よき夫」だった姿も描く。それらの子どもたちも父と向き合い、残された日記を読み込むことで、戦争や加害の歴史をたどり直してきた。武藤さんと対話を続けた息子は、父に「あなたのやった戦争責任は、俺が一緒にカラウ(背負う)」と伝えていた。

 沖縄戦の牛島満司令官は、南京攻略戦にも旅団を率いて参加していた。「牛島にとって中国での暴挙は『手柄』であり、彼らはそれを胸に沖縄に乗り込んできた。沖縄戦の背景には日中戦争がある。人間が、戦争によって豹変していく姿と同時に、そのことも着目してほしい」と原さんは話している。

 上映は各日とも午前10時から。【上東麻子】

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