「完全なフィクションじゃない」ホラー タイ映画の身も凍る“魅力”

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水道局跡地で開かれたホラー映画祭で、トークイベントを楽しむ人々=首都バンコクで2025年7月4日、国本愛撮影
水道局跡地で開かれたホラー映画祭で、トークイベントを楽しむ人々=首都バンコクで2025年7月4日、国本愛撮影

 暑さを吹き飛ばす夏の風物詩といえば怪談だ。実は常夏の国タイは「ホラー大国」とも呼ばれ、年間を通じてホラー映画やドラマの製作が盛ん。近年は国際的な注目も集める。なぜタイ・ホラーは人々を魅了するのか。

不気味な熱気の映画祭

 首都バンコク旧市街にある、「幽霊が出る」とうわさされる旧水道局跡地。夜になっても蒸し暑さが残るその場所で7月上旬、タイ初の本格的なホラー映画祭が開かれた。

 日没とともに地元市民や観光客が集まり、屋外の巨大スクリーンに映し出される国内外のホラー作品に、大きな悲鳴が上がる。俳優らのトークイベントに加え、お化け屋敷も登場。終了時刻の午前0時まで、会場は不気味な熱気に包まれた。

 「ホラーはタイ映画界最大の強み。だからそれをたたえるような場を作りたかった」。主催した映画監督シャロンシャーティー・ユコン氏はこう語り、人であふれる会場を満足げに見渡した。

 映画祭の構想自体は数年前からあったが、タイ政府が近年、ソフトパワーを国の重要戦略に掲げ、映画業界の支援を本格化させたことが後押しとなった。2025年には公開予定のタイ映画約60本のうち、半数近くがホラー作品だという。ユコン氏自身も現在、ホラー映画を撮影中だ。

 近年はネットフリックスなどネット動画配信の普及も後押しする。21年に公開された韓国との合作映画「女神の継承」は、配信を通じて日本のホラーファンからも支持を集めた。

ホラーを育むタイの風土

 ではなぜタイでホラーなのか。背景には…

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