
「漫才に『ときめき』を感じています」
喜寿を迎えても、自らのなりわいにほれ続けられるとは、何とすてきなことだろう。
漫才コンビ「海原はるか・かなた」が、結成55周年を迎えた。その道のりは順風満帆だったとはいえない。コンテストで結果が出せなかった若手時代。なかなかテレビに出られなかった中堅時代。髪の毛を吹き飛ばすおなじみのギャグでお茶の間の人気者になったのは50代を迎えてからで、近年はそれぞれの体調不良でコンビ活動ができない時期もあった。
それでも、舞台への思いが途絶えることはなかった。「55年も芸能の世界に存在できると予測していなかった。本当に幸せな人生を歩めている」とはるかさん。節目節目に勇気をくれた出会いや言葉があった。その一つに、天才漫才師・横山やすしからかけられた、ある言葉があるという。
売れるかは分からん。でも……
はるかさんは熊本県、かなたさんは奈良県出身。ともに役者を目指し、大阪・明蝶(めいちょう)芸術学院(松竹新喜劇の養成所)で出会う。卒業後、はるかさんは「漫才で頑張れば芝居の仕事も来る」と周囲に勧められ、女性漫才師の海原お浜・小浜に入門。間もなくして当時の相方が地元に帰ることになり、トラックの運転手をしていたかなたさんを誘って1970年に結成した。
3年目の頃、舞台でとっさに披露したのが…
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