大阪・関西万博で12日、2024年にノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表理事、金本弘さん(80)が基調講演した。金本さんは「核兵器は地球市民一人一人の問題だと捉えていくことが大事」と訴えた。
会場内のテーマウィークスタジオで「人権の尊重・保障」と題した対話プログラムに登壇した。広島に原爆が投下された1945年8月6日、生後9カ月だった金本さんは爆心地から約2・5キロで被爆した。姉は当時12歳で学徒動員中に被爆し、左半身にケロイドが残ったという。家族に反対されたが結婚。死産を経験し、就職では被爆を理由に差別を受け、長い間闘病を続けた。
金本さんは「核兵器の被害を受けたのはごく普通の市民。体や暮らしや心に傷を負い闘いながら生きてきた」と述べ、「核兵器は絶対に認められない絶対悪」と語り掛けた。
モデレーターは国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長が務め、生後8カ月の時に広島で被爆した近藤紘子(こうこ)さん(80)も登壇した。近藤さんは、被爆者の救済と平和運動に半生をささげた父・谷本清牧師のことや原爆を投下した米国への思いなどを語った。【根本佳奈】
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