高校野球・夏の甲子園2回戦(13日)
○創成館(長崎)1―0神村学園(鹿児島)●
「今日、球場に来て先発を知りました。やってやるぞという気持ちになりましたね」
創成館の先発は、1回戦で完投した本格派エースの森下翔太ではなく、同じ右ながらサイドハンドの奥田晴也だった。
甲子園では昨夏の2回戦で大社(島根)に競り負けた試合で先発している。「大歓声の中で投げて点も取られて負けたのに比べたら」という経験が冷静な投球につながった。
緩急が抜群でスライダーも効果的に決まり、ゴロアウトを積み重ねた。
0―0で迎えた六回。1死から死球を与え、2番の入耒田華月(いりきだかつき)への初球に二盗を決められると、ベンチの指示は申告敬遠。長打力のある右打者の3番・今岡拓夢との勝負となった。
「スライダーが決まっていたので右打者の方が勝負しやすい。ここが試合のポイントだと思いました」
外角低めに球を集めて今岡を中飛に、続く4番で右の梶山侑孜(ゆうしん)を遊飛に仕留めた。いずれもスライダーだ。
六回まで3四球、1死球は与えたものの、無安打の快投。七回の打席で代打を送られたが、そこから味方が1点を奪い、その後は森下が3回を締めた。
1998年夏の決勝で横浜(神奈川)の松坂大輔が達成して以来となる無安打無得点試合については「記録は気になりましたけど、勝ちが重要なので、次に継投になった時にも力を発揮できるよう準備します」と頼もしい。
創成館の稙田龍生監督は試合後、鹿児島大会の準決勝で神村学園を苦しめた樟南の先発投手の投球スタイルに奥田が似ていると感じ、この日、先発を決めたことを明かした。
「3回くらい持ってくれればと思いましたが、まあまあいけるやんって。この先がちょっと楽しみになりましたね」と稙田監督。
創成館として初めての夏2勝目は、エース一人に頼らない投手力で制した価値ある勝利だった。【林大樹】
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