学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る財務省の公文書改ざん問題で、財務省は13日、関連文書1万7987ページを新たに開示した。4月に始まった開示は今回で3回目。当時の財務省幹部が学園側とのやりとりの一部について、削除を指示するメールなどが明らかになった。
財務省によると、今回開示した文書は、改ざんを苦に自殺した元財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54歳)以外の財務省と財務局の担当者が取りまとめたとみられる手控えなど。
開示された文書には、国有地の格安売却が発覚した2017年2月、財務局職員と学園理事長が電話で話した記録があった。土地は地中ごみの撤去費用約8億円が値引きして売却されたが、理事長は「現時点で、2億や3億はかかっている」と説明。財務省理財局総務課長はこの発言について「削除願います」とメールで指示していた。
一方、国有地売却を巡る情報公開請求への対応で、国側の後ろ向きな姿勢も浮かんだ。財務局の職員同士がメールで「請求に対して極力新たな文書を開示しないように対応することで与党と調整している」とやりとりしていた。別のメールでは「理財局にも対応を確認しておく必要がある」との記載に「忖度(そんたく)」と手書きされていた。
財務省は今回の開示について「(18年に同省が公表した)調査報告書に矛盾することや、新たな事実は発見されていない」と説明している。
開示を求めている赤木さんの妻雅子さん(54)は同日、財務省で代理人弁護士らと文書のデータが入ったDVDを受け取った。雅子さんは「財務省の方の手控えがあるので、それを早く見たい。どういうふうに改ざんや売却について感じ、どう指示を出していたのかを知りたい」と述べた。
財務省は、次回は10月をめどに赤木さん以外の担当者の手控えの残り約1万2000ページのほか、準備できた文書を開示するとした。その後も2カ月ごとに関連文書を開示し、主要文書は来年3月、それ以外の文書も来夏をめどに開示を終える方針。
一連の文書は全体で17万ページ超とされており、財務省は4月に国有地の売買に関する学園側との交渉記録など2000ページ超、6月には赤木さんの自筆ノートなど約9000ページを開示した。【横山三加子、高田奈実、藤河匠、林みづき】
Comments