◇高校野球・夏の甲子園2回戦(14日)
◇○仙台育英(宮城)6―2開星(島根)●
1年生で仙台育英の試合に先発出場するというだけでも驚きなのに、二遊間を組んでいる。二塁に有本豪琉、遊撃に砂涼人。1年生コンビがプロ顔負けのプレーを見せた。
2―1で迎えた五回無死一塁。開星の1番・小村拓矢の打球はセカンドベース付近へ転がった。
二塁の有本は懸命に手を伸ばして追いつく。すると、逆シングルのまま、グラブでバックトスして砂に届けた。安打を阻止した見事な好プレーだが、このコンビはこれだけで終わらない。砂はくるっと反転し、一塁へ鋭く送球。併殺を完成させ、観客をどよめかせた。
「準備とアドリブ」が仰天プレーにつながった。打者の傾向やデータは試合前に把握済み。その上で有本は捕手のサインを見て、「一歩」だけ二塁付近にポジションを変えていた。
それでも有本は「守備は100%が求められる。普段の練習試合ならしない」とバックトスは選択しないという。特別に練習をしているわけでもない。しかし、試合展開を読み、「ゲッツーを取ることで打撃にも流れが行くはず」と敢行。砂もその意図をくみ、実現させた。
仙台育英出身の42歳、須江航監督も「1年生二遊間コンビ」は「(記憶に)ない」と断言する。2人は中学時代から全国の舞台で経験があり、砂は「野球勘が非常に高い」、有本は「思い切りの良さがある僕らの起爆剤」と、宮城大会の初戦からコンビで起用した。併殺の場面以外にも好守が続き、須江監督は「甲子園は倍速どころか、1日で1年分の経験が積める。そういうスピード感で成長している」と納得顔だ。
仙台育英は夏通算48勝となり、歴代5位のPL学園に並んだ。「二遊間に(打球が)飛んだら終わりだと言ってもらえるコンビになりたい」と有本。「アリスナ」が3年ぶりの全国制覇の原動力となる。【生野貴紀】
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