ユニコーン創出へ 北九州市、スタートアップ支援ファンドに初出資

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ファンドへの出資を発表する北九州市の武内和久市長(右)とナインキャピタルの竹山将志代表=北九州市役所で2025年7月16日午後0時25分、橋本勝利撮影 拡大
ファンドへの出資を発表する北九州市の武内和久市長(右)とナインキャピタルの竹山将志代表=北九州市役所で2025年7月16日午後0時25分、橋本勝利撮影

 スタートアップ(新興企業)の支援・育成を進める北九州市は、投資ファンドに1億円を出資することを決めた。新興企業向け投資会社「9Capital」(ナインキャピタル)=北九州市小倉北区=が設立したファンドを第1号の出資先に選定した。市が投資ファンドに出資するのは初めて。

 市は長期に渡る新興企業の支援体制を構築したい考え。今春に出資先のファンドを公募し、外部有識者らの審査を経て選定した。ナインキャピタルは、市からの出資を含め2026年5月までに10~30億円を調達する考え。集めた資金は先進的なアイデアをもとに成長を目指す新興企業に投資する。5年後をめどにユニコーン(企業価値10億ドル<約1470億円>以上の未上場企業)2社の創出を目指す。

 1社あたり1000~3000万円を、10~12年かけて30~50社程度に投資する方針。市の出資分については、市内に本社を置く企業に限定する。投資対象は医療や介護、環境といった分野の創業初期の新興企業で、専門家を必要とする創薬分野などは対象外。

 武内和久市長は「補助金ではできない新たな支援の形を一緒に作りたい。北九州ならではのスタートアップ、新しい産業にフォーカスしたい」と意気込む。ナインキャピタルの竹山将志代表(42)も「大きな経済圏をつくる中国・深圳に近いというポテンシャルが北九州にはある。課題解決につながるスタートアップを育成したい」と意欲を語った。

 北九州市は、国の「スタートアップ・エコシステム拠点都市」制度に2期連続で選定されており、20年度には22社だった新興企業が、24年3月末時点で101社に増加したという。【橋本勝利】

 ◇「北九州には他都市にない環境がある」

取材に応じるナインキャピタルの竹山将志代表=北九州市門司区で2025年8月1日午前10時45分、橋本勝利撮影 拡大
取材に応じるナインキャピタルの竹山将志代表=北九州市門司区で2025年8月1日午前10時45分、橋本勝利撮影

 北九州市の新興企業向け投資会社「ナインキャピタル」の竹山将志代表(42)が毎日新聞のインタビューに応じた。「ものづくりに注力する北九州には、他都市にはない環境が整っている」と述べ、企業価値10億ドル以上の「ユニコーン」創出へ意欲を示した。大小さまざまな製造業が根付いており、「実証実験からビジネス展開まで一環して進めることが可能だ」と述べた。

 ナインキャピタルは全国の新興企業を集め、投資家へのプレゼンテーションイベントを市内で開催するなど、北九州を拠点とした支援に力を注ぐ。

 竹山代表は「新興企業の多くは豊富なアイデアがあっても、製造の下地がない。製造側は卓越した技術はあっても、アイデアが乏しかったりする」と指摘。「双方が融合して、互いの不足を補えることができれば、大きなビジネスを生み出すことができる」と語る。

 さらに投資家を探す人にとっては「大都市圏に移ることなく、北九州で起業を進めることが可能となる。地元の学生や他都市から移り住んで、事業を起こす若者も増えてくる」と期待する。

 将来的には北九州を拠点に西日本の広域に活動範囲を広げたい考えで、「成功すると確信している。人口流出や高齢化対策など、地方都市特有の課題解決につなげることができる」と意義を強調する。

 竹山代表はソフトバンクグループで新規事業立案などの仕事に携わった後に独立。地方発のグローバル起業家を生み出すビジョンを掲げ、2024年にナインキャピタルを設立した。

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