
トランプ米政権の関税措置の不透明感が和らいだ――。
日本に対する相互関税や自動車関税を15%とする日米合意を受け、日経平均株価が史上最高値を更新するなど市場には安堵(あんど)感すら漂う。
だが、日本の基幹産業を支える自動車部品メーカーは、米国の関税措置に起因する「想定外」の支出に悩む。高関税措置の固定化が避けられなくなり、日本の産業構造もじわりと変化を迫られる可能性もある。
4000万円の負担増
「不確実性があまりにも高すぎる。2次災害的な影響が大きい」
エアバッグに使われる金属製の部品の生産を主力とする昭芝製作所(東京都練馬区)の三原寛人社長は吐露する。
国内各社だけでなく、欧米や中国、韓国の自動車メーカーと幅広い取引先を持つ昭芝。海外にも中国2工場とメキシコ1工場など計4カ所の生産拠点を置く。
関税引き上げの直接的な影響は「今のところない」と言う三原社長。
メキシコから米国への輸出には25%の関税がかかるようになったが、原則非課税で輸出入できる「米国・メキシコ・カナダ協定」(USMCA)に適合した自動車部品は適用除外で、0%関税が続いているためだ。
日本から米国向けの輸出でも、取引先の企業から関税分の負担を求められてはいないという。
では、三原社長の言う「2次災害」とは何か。
そのひとつが、税関での材料の滞留だ。同社のメキシコ工場では2月以降、トランプ政権前にはなかった事態に見舞われた。…
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