夏休み「ランチどうすれば」 子ども食堂が共働きや多子世帯の味方に

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多子世帯などでにぎわう「子ども食堂まんぷく」=東京都杉並区で2025年8月14日午後0時7分、山本萌撮影 拡大
多子世帯などでにぎわう「子ども食堂まんぷく」=東京都杉並区で2025年8月14日午後0時7分、山本萌撮影

 共働き世帯や多子世帯では、子どもたちが夏休みに入ると「ランチはどうすれば」と悩むことが多い。

 特に小学生がいる世帯は学童保育に預けても弁当を持たせる必要があったり、お盆には学童自体が休みになったりするためだ。

 そんな中、「子ども食堂」が当事者たちの強い味方になっている。

子ども4人の母「気が紛れる」

「子ども食堂まんぷく」のボランティアスタッフら。右から3人目が代表の斎木多恵子さん=東京杉並区で2025年8月14日午後0時54分、山本萌撮影 拡大
「子ども食堂まんぷく」のボランティアスタッフら。右から3人目が代表の斎木多恵子さん=東京杉並区で2025年8月14日午後0時54分、山本萌撮影

 お盆期間中の14日昼。東京・荻窪の居酒屋で開かれた「子ども食堂まんぷく」に、幼児から中学生までの子どもたちが続々と駆け込んできた。

 「おなかすいた! 早く食べたい」

 「今日のご飯は何?」

 この日のメニューはラタトゥイユ風チキントマト煮やマカロニサラダ、ゆで野菜、おにぎり、ゼリーなど。テーブルに並ぶと、子どもたちは勢いよくほお張っていた。

 仕事が休みで、お墓参りの帰りに2~9歳の子ども4人を連れて訪れた30代の女性会社員は「食事の支度が大変なので、気分転換になります。私の親も仕事をしているので夏休みだからといって頼れないですし、家では料理を作っても子どもたちが食べないとイライラすることがあります。でも、ここに来れば他のお母さんたちと話すことで気が紛れます」とほっとした様子で話した。

 長女(9)も「おにぎりがおいしかった」と満面の笑みを見せた。

「子ども食堂まんぷく」で並べられたおにぎり=東京都杉並区で2025年8月14日午後0時10分、山本萌撮影 拡大
「子ども食堂まんぷく」で並べられたおにぎり=東京都杉並区で2025年8月14日午後0時10分、山本萌撮影

 ほかにも、乳幼児2人を連れた夫婦や育休を取得して4児を育てる女性、中学生の男の子などが訪れた。

 「おいしい食事を提供してくれて本当にありがたいです」

 「家にいるときより、子どもが野菜を食べてくれます」

 食べ終わった利用者は、口々にスタッフにお礼を伝えていた。

「ランチ」「1日3食」作るの大変

 パナソニックが7月、小学生の子どもを持つ男女602人を対象に実施したインターネット調査によると、子どもの夏休みに大変に感じることは複数回答で「ランチ作り」が最多の53%に上り、「1日3食作ること」が51%と続いた。

 まんぷくは地域住民の有志が2022年2月に立ち上げ、普段は毎月第3月曜日の午後5~8時に開いている。23年からは子どもの夏休み期間の昼にも特別開催しており、今年は7~8月に計4回実施する。

 ランチは毎回30食を用意し、18歳以下は無料、大人からは最低300円を受け取っている。

 行政からの紹介や口コミ、インターネット検索でたどりつく人が多く、当日予約も受け付けているが、事前予約した利用者で埋まってしまうことが多いという。

「子ども食堂まんぷく」では、サラダに入れるキュウリを下ゆでしたり、薄味にしたりと幼児から大人まで食べやすいメニューになるよう工夫している=東京都杉並区で2025年8月14日午後0時26分、山本萌撮影 拡大
「子ども食堂まんぷく」では、サラダに入れるキュウリを下ゆでしたり、薄味にしたりと幼児から大人まで食べやすいメニューになるよう工夫している=東京都杉並区で2025年8月14日午後0時26分、山本萌撮影

 まんぷく代表の斎木多恵子さん(65)は「楽しくおいしく、みんながしゃべりながらご飯を食べて満腹になれる場所をモットーに始めました。昨夏以降は(定員の上限に達して)予約をお断りすることも出てきました」と語る。

物価高で訪れる人も

 一方で、物価高の影響で子ども食堂を訪れる人もいる。

 まんぷく自体も食材費がかさんでおり、斎木さんは「食品全体の値段が上がっていますが、特にお米が高い」と漏らす。

 とはいえ、趣旨に賛同する居酒屋が場所だけでなく食器や調味料も貸してくれ、光熱費の負担も免除してくれている。運営費は賛同者からの寄付や行政からの補助金で賄っており、今後もできる限り利用料を据え置いて活動を続ける方針だ。

 斎木さんは語る。「皆さんがおいしいと言ってくれるとうれしいし、子ども連れのお母さんが笑顔になって帰ってくれることにもやりがいを感じます。これからもみんなが元気になれる場所でありたいと思っています」【山本萌】

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