トランプ政権下で有名大が次々「陥落」 焦点のハーバード大は

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トランプ米大統領=ホワイトハウスで2025年7月4日、AP 拡大
トランプ米大統領=ホワイトハウスで2025年7月4日、AP

 米国の有名大学がトランプ政権の圧力に屈して、政権の意向に沿った「改革」を進めるケースが相次いでいる。改革によって政権と合意に至った大学は助成金の凍結が解除された。一方で、ハーバード大は留学生の受け入れ資格取り消しなどの圧力にさらされながら抵抗を続けており、その対応が注目されている。

 7月に政権との合意に達したのはコロンビア大、ブラウン大、ペンシルベニア大の3校。ハーバード大と共に「アイビーリーグ」を構成する東部の名門私大だ。いずれも「反ユダヤ主義」への対応や多様性の推進を理由に助成金を凍結された。

 3校の政権との合意事項はそれぞれ異なる。パレスチナ自治区ガザ地区での反戦を訴える学生運動の起点となったコロンビア大は、3年で2億ドル(約295億円)以上を政府に支払う。入試や採用で人種的マイノリティー(少数派)の優遇措置を認めない政権の方針に従うほか、学内での抗議活動の取り締まりを強化する。

 合意事項の履行状況を評価する独立した監視員を設けることでも譲歩した。これらと引き換えに政権側は、ユダヤ系学生への対応をめぐる公民権法違反の疑いでの調査を止め、助成金の凍結を解除する。

 ブラウン大は、性別を「生物学的な男女」のみに限定する政府の方針に従うとしたほか、イスラエルに関する研究や教育、ユダヤ学研究のプログラムを充実させる。政府に対する支払いはないが、地元のロードアイランド州の職業訓練団体へ5000万ドルを拠出する。

 ペンシルベニア大は、トランスジェンダー女性の競泳選手が打ち立てた学生記録を取り消し、他の女性選手が「不利益を受けた」ことを謝罪。今後は女子スポーツ競技へのトランスジェンダー選手の参加を禁じるとした。

 ハーバード大のように裁判で争えば大学にとっての費用負担は大きく、助成金を「武器」とした兵糧攻めは長期化する。政権から別の形で圧力を受けるリスクもある。学内外から大学の自治への介入を許すことへの批判もあるなか、各大学は財政危機の解消を優先して譲歩を迫られている。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、トランプ政権は、コロンビア大との合意を他大学との交渉のモデルとする「青写真」を描く。

 複数の米メディアは、ハーバード大が近く政権と和解する可能性があるとの見方を伝える。大学側が職業訓練プログラムに5億ドルを寄付する案などが浮上しているが、地元紙ボストン・グローブは14日付の記事で「重大な相違点」が残ると報じている。【ニューヨーク八田浩輔】

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