トランプ米大統領は15日(日本時間16日)、プーチン露大統領と2019年に大阪であった主要20カ国・地域(G20)首脳会議の時以来、約6年ぶりに対面で会談する。トランプ氏の1期目(17~21年)にあった両氏の会談などを振り返ると、プーチン氏寄りの発言を重ねるトランプ氏の「弱腰」な姿勢が浮かび上がる。
トランプ氏が1期目でプーチン氏と最初に会談したのは17年7月。ロシアが16年米大統領選に介入したとされる「ロシア疑惑」も取り上げられた。選挙は共和党のトランプ氏が民主党の対立候補のヒラリー・クリントン元国務長官に勝利。米情報機関は、ロシアがトランプ氏に有利になるようにサイバー攻撃を仕掛けたと断定し、トランプ陣営とロシア側の「共謀」が疑われていた。
米メディアによると、トランプ氏は会談後、同席した通訳からメモを取り上げ、協議内容を他の米高官と共有しないように指示。その日の夜、プーチン氏とロシア側の通訳だけを入れて話し合ったという。
17年11月にあった国際会議で両者が会話を交わした後には、トランプ氏は記者団に「プーチン氏は選挙に干渉していないと言った。心から信じている」などと説明した。18年7月の会談後には「ロシアが干渉する理由が見当たらない」と強調。プーチン氏と米情報機関のどちらを信用するかと問われ、「プーチン氏の否定はとても力強い」と述べ、自国の調査をないがしろにしてプーチン氏を擁護する姿勢が批判された。
こうした経緯から、トランプ氏はプーチン氏に対してともにロシア疑惑と戦った「仲間意識」(米CNN)を持っているとも指摘されている。
ウクライナ情勢を巡っても、トランプ氏は第2次政権の発足当初はロシアに融和的な姿勢を見せていた。しかし、プーチン氏がかたくなに停戦に応じないことから次第にいらだちを強め、最近はロシアと取引する第三国に「2次関税」を課す方針を示し、圧力路線に転じた。
ただ、プーチン氏はかつて旧ソ連の情報機関・国家保安委員会(KGB)の情報員で、交渉にたけているとされる。トランプ氏はウクライナでの早期停戦を目指してプーチン氏と電話協議を重ねてきたが、譲歩は引き出せず、圧力も強化できていない。今回の会談でもプーチン氏がトランプ氏の取り込みを図るとの見方は根強い。【アンカレジ(米アラスカ州)松井聡】
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