プロペラ破損で運休続く駿河湾フェリー 「別の問題」で再開不透明に

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清水港と土肥港を結ぶ駿河湾フェリー=ふじさん駿河湾フェリー提供 拡大
清水港と土肥港を結ぶ駿河湾フェリー=ふじさん駿河湾フェリー提供

 清水港(静岡市清水区)と土肥港(静岡県伊豆市)を結ぶ駿河湾フェリーが2日から運休している。破損したプロペラの修理が完了した後の20日から運航再開の予定だが、延期の可能性も浮上している。船体の老朽化や利用客の低迷もあり、フェリーを取り巻く環境は厳しさを増している。

 駿河湾フェリーはかつて民間企業が運航していたが、経営難のため県と関係6市町出資の一般社団法人ふじさん駿河湾フェリー(静岡市清水区)が2019年6月、事業を継承した。運賃収入だけでは事業が継続できず、出資自治体が毎年度3億円前後を補助金などの名目で負担している。

 自動車を載せる際に使う台船が破損してフェリーは1月から車の運搬をいったん中止。9月12日の運搬再開を目指して修復作業が進む。だが8月に入りプロペラの破損も判明し、運休を余儀なくされている。

 フェリーは船尾の左右にプロペラが取り付けられていて、今回は右側が破損していた。原因は未確定だが、入出港時に船体を後退させた際、岸壁などに接触した可能性がある。修理には数百万円かかる見通しで、修理費の調達について運営法人は「現状、お答えできない」と言葉を濁す。

 フェリーは05年の新造から20年を経て老朽化が進む。フェリーの寿命は一般的に20~30年とされる。中長期的には新船導入も課題だが、「今のところ船の新造は検討していない」(運営法人)という。

 船の新造など大規模投資が困難な背景には、運営法人の苦しい台所事情がある。24年度の最終(当期)損失は4426万4000円で、2期連続の赤字決算だった。台船損傷による減便もあり、輸送人員が対前期比1万2699人減の8万7150人と低迷したのが響いた。

 今年4~6月の輸送人員は前年同期(2万9592人)比で約7割減の計8955人。運営法人は輸送人員の目標として年間18万人を掲げるが、25年度の目標達成はほぼ不可能な状況にある。

 このほか「船体に別の問題が見つかった」(運営法人)ことなどから、フェリーの運航を予定通り8月20日から再開できない可能性が出てきた。運営法人は「『車の運搬を早く再開してほしい』などの声を多く頂いている。運営法人として(通常運航の再開に)全力で取り組む」と話している。【太田圭介】

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