
人々の健康意識が高まるなか、新興企業ドットミー(東京都)が手がける健康商品ブランド「サイクルミー」が広がりを見せている。5月以降、食物繊維やたんぱく質を含んだ飲料水を相次ぎ市場に投入した。狙いはどこにあるのか。
ドットミーは2021年7月、三井物産でSNS(交流サイト)解析に携わっていた知念孝祥ジョナサン氏が設立した。
知念氏は「朝食に○○を食べると一日元気に過ごせる」「寝る前に△△を飲むとリラックスできる」などの投稿から「在宅勤務で曖昧になったオンとオフの境目を、食べ物や飲み物で切り替えているのでは」と分析。朝、昼、夜に分け、効率的な栄養吸収や気持ちの切り替えを促す商品の開発を目指した。

現在、朝の時間帯を推奨する食物繊維入りのゼリーや、昼推奨のたんぱく質入りのドリンクなど10商品を展開。アサヒ飲料などと共同開発した商品もセブン―イレブン限定で販売している。
全24商品のうち10商品が食物繊維の入った商品だ。腸の健康を保つ「腸活」が注目されて久しいが、特に腸内細菌のバランスを改善する食物繊維は、炭水化物、脂質、たんぱく質、無機質(ミネラル)、ビタミンに次ぐ「第6の栄養素」とも言われている。
厚生労働省が示す基準(25年版)は、1日に取るべき食物繊維の量を女性は18~64歳が18グラム、男性は18~29歳が20グラム、30~64歳が22グラムと定める。だが同省の23年調査では、1日の平均摂取量は目標を下回る傾向があり、特に20~29歳女性は14・6グラムで目標に3・4グラム不足し、30~39歳男性も17・9グラムで4・1グラム少ない。
そこでサイクルミーは5月、食物繊維が5グラム入った「食物繊維がとれる水」を発売した。カロリーゼロで糖分も不使用。消費者の「味がない水は飽きる」との声も踏まえつつ、食物繊維そのものの苦みを抑えるためレモン風味に仕上げた。
腸内環境を整えるうえで重要な善玉菌のエサになりやすく、発酵速度が緩やかでおなかを痛めにくいグアー豆食物繊維を採用し、質にもこだわった。7月には、たんぱく質が5グラム入ったモモ風味の「たんぱく質がとれる水」も発売した。
新型コロナウイルス禍を経て免疫力を高める食事や生活習慣が注目されるが、知念氏は「まだまだ体の外側しか気にしない人が多い。内側から見直すきっかけをもっと作っていきたい」と話す。【鴨田玲奈】
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