2025年の夏、いかがお過ごしでしょうか。暑さ対策をしつつ、旅行や帰省の計画を立てている人も多いのでは?今回は全国各地の「地域トリビア」を厳選して紹介します(随時掲載)。家族や旧友、旅先の人たちとの話題にチェックしてみてください。ふるさとの意外な一面も見えてくるかもしれません。
まちを彩る恵比須像の笑顔
博多方面からの電車でJR佐賀駅に降り立つと、ホームの真ん中に置かれている1体の恵比須像が目に入る。「なぜホームに恵比須像があるのだろう」。そう思いながら反対側のホームを見ると、看板に答えが書かれていた。恵比須その数日本一、佐賀――。そう、佐賀市内には日本一と言われるほど、恵比須像が至る所にあるのだ。
市民団体「恵比須 DE まちづくりネットワーク」によると、市内にある恵比須像の数は約840体に達する。確かに町中を歩いていると、店の軒先や公園の一角、通りの角などで、にっこりとほほえむ恵比須像の石像に出合うことも珍しくない。
そもそも、恵比須とは七福神の一つで唯一、日本古来の福の神とされる。右手に釣りざおを持ち、左脇にタイを抱えた姿が一般的で、漁や商いの神様として信仰を集めてきた。
佐賀での恵比須像の数は突出している。なぜここまで多くあるのか。
結論から言うと、その理由ははっきりとは分かっていない。(1)鍋島藩主が兵庫・西宮神社から譲り受けた恵比須像を祭ったのを見て、住民が祈るようになった(2)佐賀の水路を利用して栄えた海運業者が祭った(3)佐賀を通る長崎街道の商家が商売繁盛を願った(4)佐賀には石工が多くおり、恵比須像を簡単に入手できた――など諸説が伝わっている。
広まった理由は分からずとも、恵比須像が市民に愛されているのは確かだ。2011年には88カ所の像を巡る「さが恵比須八十八ケ所巡り」も始まった。昔から伝わる像だけでなく、新たな像も増えているという。佐賀の恵比須像は時を超え、まちの片隅で人々の願いを見守り続けている。
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