夏の高校野球期間中は、NHKの朝の情報番組「あさイチ」(午前8時15分〜)はお休みなのだが、「野球より『あさイチ』を放送して」という声が強いらしい。甲子園の人気低落もあるが、近ごろ「あさイチ」の評判がすこぶるいいのだ。視聴率でも、裏番組の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)を上回ることが少なくない。
民放の情報ワイド番組は、政界のドタバタ、迷惑インバウンド、大リーグの大谷翔平、異常気象と、同じ話題、同じ映像の繰り返しで、不快な話も多い。一方、「あさイチ」は暮らし、健康、料理・食べ物、旅・レジャーなど、すぐ役立つ生活情報がメイン。朝ドラや大河ドラマのイケメンも出演する。朝からイライラしたくないと、こっちにチャンネルを合わせる中高年の女性視聴者が増えているのだ。
とくに、キャスターの博多華丸・大吉、鈴木奈穂子アナの好感度が高い。
「華大は吉本興業なのに、ドツキや大声で騒ぐ芸風でなく、ちょっとした間や駆け引きが面白い大人の芸人です。7年前に起用されたときは、NHKの朝の番組にお笑い系で大丈夫かと心配されましたが、いまやすっかり番組の顔です。手際よく進行する大吉が趣味のコーナーではとんでもなく不器用だったり、華丸が見かけによらず包丁さばきがうまかったりで笑いも誘う。朝はこの2人でさわやかな気分になりたいというのはわかりますね」(テレビ情報誌編集デスク)
鈴木アナも「ニュースウオッチ9」「ニュース7」を担当したエリート硬派アナのイメージだったが、「あさイチ」の調理体験リポートなどでは、ドレッシング作りを「チッ! 面倒くさいなあ」とつぶやいたりして、意外な素顔を見せる。これが親近感を呼んで、“第2の有働由美子”と言われるようになっている。
もちろん、前番組の連続テレビ小説「あんぱん」の好調も大きい。世帯視聴率で17%台を連発する人気で、朝ドラを見て、そのまま「あさイチ」へという流れになっているのだろう。冒頭の“朝ドラ受け”で、鈴木が大泣きしたり、華丸が「嵩、しっかりせんか!」と突っ込んだりも見どころとなっている。ところが、先週からは高校野球になってしまうものだから、「あれえ、『あさイチ』ないの?」と不満が募っているのだ。大丈夫、25日から再開です。
(コラムニスト・海原かみな)
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