全国高校野球選手権大会は第12日の17日、阪神甲子園球場で3回戦があり、仙台育英(宮城)は延長十一回タイブレークの末、沖縄尚学に3―5で敗れた。
11回を投げきった仙台育英のエース左腕・吉川陽大投手(3年)はこの試合、最後の打者となった。打席では涙が止まらず、二ゴロに終わると、一塁ベース付近でしばらく立ち上がれなかった。
試合後は、須江航監督とチームメートへの感謝を口にした。
吉川投手の試合後の主なコメントは次の通り。
「サポートに気づけない自分がいた」
<延長十一回2死三塁、最後の打席では涙があふれました>
まだまだ仲間と野球がしたかったです。負けている展開で、打力に自信のない自分を打席に立たせてもらった(監督の)須江先生への感謝と、仲間の顔が浮かんできて、涙が出てきました。
(須江監督から)「自信持っていけよ、お前のバッティングなら大丈夫」って。
<二ゴロで、一塁ベースにヘッドスライディングした後は、しばらく立ち上がれませんでした>
やりきったっていう気持ちと、一気に控え組の仲間の顔が思い浮かんできて……。
「あの時バッピ(バッティングピッチャー)してくれたのに」とか、「控えの選手が自分たちのサポートをしてくれたのに」という思いで、ほんとに申し訳ない気持ちになりました。
<同じ左腕の末吉良丞投手と投げ合いになりました>
(末吉投手が)本当に粘り強いピッチングを見せてくれたから、自分も粘り強いピッチングで末吉君に勝つぞっていう思いがありました。
自分が負けたので、末吉君の方が力は上です。
(試合後は末吉投手に)これからの試合も頑張ってほしいと伝えました。
この仲間を自分のピッチングで勝たせたくて。打ってくれることをずっと願ってはいました。ただ、打線は水物なので。
自分が耐えて、粘って粘ってっていう姿を見せたかったんですけど、ふがいないピッチングで負けてしまいました。
<十一回、5点目となる適時三塁打を浴びた場面について>
カットボールが甘めに入ってしまいました。膝から下に落ちる球を投げようと思っていましたが、甘くなってしまいました。
1球を逃さない相手の打線が本当にすごいなって思いました。
(その前に味方の失策で勝ち越されたが)エラーはつきものなので、ここで自分が防ぐという思いだったんですけど、次のバッターに打たれてしまったところが駄目だったなと思います。
<元バレーボール女子日本代表の母博子さんが、アルプス席で見守っていました>
(出身の)神奈川から宮城に行かせてくれて、辛い時、ほんとに苦しいなっていう時もあったんですけど、ありがとうと伝えたいです。
<仲間への思いというのは>
自分はいろいろな迷惑を仲間にかけてきました。自分がメンバー入りしてから、うまくいかないプレーがあると、ふてくされたような態度を取ってしまっていました。
ずっと自分にしゃべりかけてくれたり、サポートしてくれたり、それに気づけなかった自分がいました。
(仙台育英で)控えだった須江先生に「控え選手では味わえない悩みがあることは幸せなんだ」と言われて、そこから仲間のために投げようと考えるようになりました。
自分をここまで成長させてくれた仲間がいて、その仲間のためにずっと投げたんですけど、恩返しができなくて本当に悔しいです。
<今後の進路は>
須江先生と話して決めていきたいと思います。プロに行きたい気持ちもありますが、今日のピッチングを見直して、もう一度考えていきたいと思います。
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