高知県四万十市で日本舞踊教室を主宰する慶祥(けいしょう)流家元の慶祥芳之(本名・宮地和彦)さん(49)は、現在公開している映画「国宝」の振り付け指導をした舞踊家の谷口裕和さん(48)の助手として、撮影現場などで主人公の吉沢亮さん、横浜流星さんらに直接指導を行ってきた。
撮影は2024年3月から約3カ月間、京都を中心に行われた。主人公の2人は、撮影の約2年前から日本舞踊の基礎を谷口さんから教わってきたという。谷口さんに師事している慶祥さんも、稽古(けいこ)のため2カ月ごとに上京し、間近で2人の上達ぶりを目の当たりにしてきた。「役者の命がけのストイックさ」を感じたと振り返る。
慶祥さんは小学5年の時、祖母に連れられて見た初代・慶祥芳之の踊りに魅せられ、15歳で入門。20歳で師範になり、33歳で二代目として慶祥流を継いだ。先代の死後、「習う事に飢えていた」と語る慶祥さんは、谷口さんと出会った時に「この人だ」と直感。迷うことなく師事を願い出て、稽古に励んできた。
現在は高知県宿毛市と土佐清水市の他、愛媛県宇和島市にも教室を構え、約50人の弟子たちの指導に当たっている。また、7月に発表された蛇王(じゃおう)神社(四万十市名鹿)の「蛇王音頭」の振り付けを行うなど幅広く活動している。
慶祥さんは「今までは自分の芸を磨くことで精いっぱいだったが、これからは和の文化を若い人たちに伝えていきたい」と意気込んでいる。【上野力】
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